脳神経内科外来担当医表
診療科の概要
脳神経内科を一般の方に説明する場合、「メスを持たない脳神経外科医や整形外科医ともいえる範囲を扱う」といった方がわかりやすいかもしれません。
私達の言動や行動といったふるまい全ては、脳によって規定されているのです。例えば外界の情報は、様々な感覚器を経てインプットされ求心性の神経を伝い、中枢神経で統合し、情報処理され、遠心性の神経から筋肉や効果器にアウトプットされます。更にこれらの情報を各部位にフィードバックし調整します。記憶も脳の一機能ですし、文学や芸術、スポーツ、更に文化や文明も神経なしでは語れません。ですから、脳神経内科が扱う領域は下記のように広範です。
脳神経内科が扱う領域
- 大脳、中脳、小脳、橋、延髄、脊髄(頸髄、胸髄、腰髄)といった中枢神経
- 視神経や眼の動き、顔や聴力、口、舌、喉など飲み込みに関わる脳神経
- 各場所からの情報を中枢に伝え、かつ手足を動かす末梢神経
- 発汗や血管の拡張・収縮による体温調節、血圧への影響が大きい心臓の動きに関わる交感神経
- 副交感神経のバランスやお腹の動きや呼吸調節、睡眠に関する自律神経
- 筋肉そのものやその調節
脳神経内科の症状
神経は体中に張り巡らされており、体のいたるところで様々な働きをしています。そのため脳神経内科の症状は、多岐にわたります。
- 物忘れ、頭の痛み、物の見づらさ、聞こえにくさ、めまい感、しゃべりづらさ
- むせ、手足のしびれ感、力がはいらない(脱力)、ふらつき、歩きにくさ(歩行困難)
- 異常な動き、転倒、ふるえ、けいれん、便秘、立ちくらみ、排尿障害、不眠、など
これら脳神経や筋肉および血管、脳、脊髄腔が障害を受けた患者さんには、問診、視診、触診、聴診はいうまでもなく反射や筋力評価、高次脳機能や感覚検査など、神経診察を駆使し診断し、補助検査として画像や採血、生理検査を行い診断をつけ治療します。
主な対応疾患
- 脳梗塞、脳出血、脳動脈解離、脳血管性認知症
- 神経難病などの神経変性疾患(アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統萎縮、筋萎縮性側索硬化症)
- 自己免疫が関与する多発性硬化症、視神経脊髄炎、重症筋無力症、多発性筋炎、急性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- しびれや痛みを呈する末梢神経疾患
- 頸椎症、脊柱管狭窄症、筋ジストロフィーなどの筋疾患
- 頭痛、片頭痛、顔面神経麻痺、顔面痙攣、三叉神経痛、肋間神経痛、坐骨神経痛、不眠、てんかん、脳炎、髄膜炎、中毒、遺伝病、脳脊髄液減少症、睡眠時無呼吸症候群、嚥下障害、構音障害、失語、痙縮、痙性麻痺
外来診療
常勤医2名と大学から1名の非常勤医が専門医として外来診察しています。
- 地域の先生がたと連携し、患者様とゆっくり向き合う診察と治療を提供してまいります。また地域の先生から紹介いただいた患者さんは、診療情報提供書での報告とともに地域の先生にお戻しするだけでなく、患者さんや地域の先生の必要に応じて、かかりつけの先生と当院専門医がともに2つのかかりつけ医となり、双方向に協力し合って診療することも可能です。
- MRIは3Tと1.5Tの2台、CT装置は256列のマルチスライスを含め2台、脳血流SPECTやDATScan、脳波計、筋電図計、睡眠時ポリソムノグラフィー検査装置等を設置しています。当院外来だけでなく地域の先生にもご利用いただきながら医療連携を推進致します。
脳血流SPECT ・ DATScan
RI検査装置を用いて、微量の放射性同位元素が含まれた放射性医薬品を注射し、その薬剤が集積した部位から出される微弱な放射線を検知して画像化する検査です。
脳血流SPECT
脳の血流を評価する検査で、脳全体の血流が保たれているかどうかを観察することができるため、脳血管障害など様々な脳の疾患に適用されています。また、脳の血流は脳梗塞など脳血管障害の要因のみならず、アルツハイマー病などの脳の変性疾患でも低下することが知られており、認知症の早期発見やタイプの鑑別、進行度の評価などに用いられています。
DATScan
パーキンソン病、レビー小体型認知症は黒質線条体のドパミン神経細胞が変性する運動失調疾患です。この疾患では、神経終末に存在するドパミントランスポーター(DAT)密度が低下していることが知られています。DATScanでは、DAT分布密度を反映する画像が得られ、CT検査やMRI検査、脳血流SPECT検査ではわからなかったドパミン神経の変性、脱落の程度を評価することが可能です。
入院診療
一般急性期病棟、地域包括病棟、回復期リハビリテーション病棟を活用でき、急性期から回復期及び慢性期の一時的な悪化やレスパイトおよび在宅への環境調整も含め、切れ目なく地域にお住まいになる患者さんの診断治療や支援を可能な限り行います。他院の救命救急センターや外来からの二次救急レベルの患者さんは24時間転院受け入れを行なっています。
治療内容のトピック
更に当院では筋痙縮に関しても積極的に取り組んでいます。ボツリヌス毒素を使ったボツリヌス(ボトックス)療法や、体内に埋め込まれたポンプとプログラマをつかって、脊髄腔にカテーテルから薬液を持続的に投与するバクロフェン髄注療法(ITB)、パーキンソン病の脳深部刺激療法(DBS)、プログラミング治療を行っています。
思いあたることはありませんか、あなたにも脳卒中が潜んでいるかも?
脳血管疾患の発症や再発をご心配されている方は、下記を参照ください。
脳卒中予防 10か条《名古屋弁編》
症状が出たら 一刻も早く 救急車を
医師紹介
氏名 | 所属学会等 | 専門領域 |
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脳神経内科部長 竹内 茂雄 |
医学博士 日本自律神経学会評議員 日本神経学会認定神経内科専門医 日本神経学会認定神経内科指導医 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医 日本神経生理学会認定脳波分野専門医 日本神経生理学会認定筋電図・神経伝導分野専門医 日本内科学会認定内科医、日本医師会認定産業医 難病指定医、臨床研修指導医 TNT資格、ITB資格、ボトックス資格 認知症サポート医、愛知淑徳大学健康科学部講師 身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由・言語聴覚機能) |
神経内科学、自律神経学 脳卒中学、臨床神経生理学 |
野倉 一也 | 日本神経学会専門医 日本脳卒中学会専門医 日本老年医学会老年病専門医 日本老年精神医学会専門医 日本神経眼科学会相談医 日本ボツリヌス治療学会 |
運動障害 神経眼科 ボツリヌス治療 認知症 |
脳神経内科 午後の診療は原則予約制ですが、予約のない方も診療に応じます ※1
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | - | 竹内※2 | 竹内※2 | - | 野倉 |
※1 ご予約が無い場合は、待ち時間はご容赦ください。
※2 午前の竹内医師の診療は、内科外来と併施します。